作品名:ブラッドライン(Bloodline)[シーズン1] 評価:★★★★★
物語の舞台はフロリダのキーズ
そこでリゾートホテルを経営する一族がこのドラマの主役だ
実家に寄り付かなかった問題児の長男が戻ってくるところから物語は始まる
彼が戻った事で、安定して稼働していた『家族』というシステムは少しずつ軋み、歪み、全体は徐々に蝕まれていく
『現在』のストーリーと合わせて『過去』が明かされ、事実が組み上がっていく進め方は『LOST』によく似ている。現在の結果は過去の原因に起因しており、現在の行動は過去の出来事によって説明される
この物語の主題を一言で表わせと言われれば、間違いなく『怒り』だろう
キャラクター達は怒りに支配され、間違った行動を繰り返して人生を壊してゆく
人は心に大きな傷を負うと、その傷から怒りが滲み出てくる。その怒りは自分を含めた周囲の人々の心を傷つけ、怒りは連鎖し大きくなってゆく
このドラマではそれぞれの怒りが拡大し、家族が壊れていくさまを淡々と描く
表面的には平静を装っていても、内面では怒りの炎はくすぶり、『赦し』はそれを完全に消す事が出来ない。いや、完全な赦しなどあり得ない
例えそれが父と子であろうと、互いを赦すことが出来ず、怒りの炎は永久にくすぶり続ける
こう書くと、全く救いようのないドラマであるように読めるが、その通り。このドラマは(少なくとも本シーズンでは)最後まで全く救いがない。淡々と損なわれていく家族を描いているだけだ
内容は暗いが非常に深く考えさせられる部分が多く、作品としての完成度は非常に高い
暗い内容が嫌いな人でなければ強くおすすめできる作品だ
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