作品名:騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編
著者:村上春樹
評価:★★★★☆
全体的な世界観は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と『ねじまき鳥クロニクル』を合わせた感じ
どちらも好きな作品で、近年の作品はイマイチだと感じていたので嬉しい
だだ、最近の作品には俺の好きな主人公に「やれやれ」を発させるような若い女が出てこない
みどりや太った女や笠原メイ
本作にも登場するが、最近の作品に出てくる若い女といえば若いけど中身は若くない不思議系
著者も年をとって女の趣味が変わったのか
作品の性質に関して
彼の作品に共通する性質なのだが登場人物から悪意を感じることがない
良くも悪くも登場人物たちは自分たちなりの『正義』を持っていて、それを何らかの形(言語であれ行動であれ)で表現している
今回もテレビピープル的な異質なキャラクターが登場するが、それもテレビピープルと同じで人外のものではない
現界と異界が存在するとすれば、それはその中間に存在する
完全に異質でもなければ我々と同質でもない。そこに居るはずではないが、居ることも可能性としては排除できないレベルの存在。中間的な存在
著者の作品には絶対的な中心が存在すると感じる
作品中の存在は皆そこを向いている。だから彼らは善でも悪でもなく、我々と同質でもなく異質でもない
彼の作品が人を引き込むのは、我々の世界と彼の世界との連続性ではないかなと思う
彼の世界は我々の世界に存在しうる
それでいて物語の枠を外れていない出来事を描く
もしかしたらありえるかもしれないというライン限界をシニカルな態度で描いていく
2部を読み終えたら感想が変わるかもしれないが、今は早く続きが読みたい
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