【騎士団長殺し 第2部】返ってきた村上春樹を俺は歓迎した

作品名:騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編
著者:村上春樹
評価:★★★★☆

 

第2部には南京大虐殺に関しての記述があり
その辺りが気になる人は少し不快に思うかもしれない
彼は政治的な主張というよりもむしろ
数百人でも数万人でも数十万人でも
殺した事実があるならば素直に認めるべきで
人数の議論などバカバカしいと考えているように俺には感じられた

1部のレビュー

【騎士団長殺し 第1部】90年代の村上作品が帰ってきたのか?
作品名:騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編 著者:村上春樹 評価:★★★★☆ 全体的な世界観は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と『ねじまき鳥クロニクル』を合わせた感じ どちらも好きな作品で、近年の作品は...

2部も1部に引き続き昔の村上春樹の薫りがそこかしこに漂い。とても懐かしい気持ちになった

例えばやみくろの恐怖。赤坂シナモンの偏執的な傾向。そういったキャラが復活して冒険的要素が蘇った
最近の作品にはなかったドキドキ・ワクワク感
彼の作品を食い入る様に読んだ10代の頃を思い出した

彼の作品は90年代後半から少し趣きを変えたように感じていた。作品全体に抽象的な雰囲気が漂い、俺はそれを好きにはなれなかった
長編小説が出るたびに読んではいたが、10年程のあいだ、俺は彼の作品には満足できずにいた

しかし1Q84あたりから作風に変化生じた様に感じた。ファンタジー風味が強くなり。作品からノスタルジックな薫りを感じた

本作ではそれが明らかになった。彼は同じ場所に返ってきたのだ。
もちろん完全に同じというわけではなく、著者の中にあるナニカを表現する方法というか、それを吐き出す場所としての世界感が戻った感じだ
そこには変化した著者のナニカが、昔とは違ったものとしてもありありと感じられた

村上作品を読んで育った世代として、広く沢山の人に読んでもらいたい作品だ

ところで

『裸のベッドに横たわる』と『裸でベッドに横たわる』の違いが認識できないのは俺だけ?

 

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