作品名:グラン・トリノ
評価:★★★☆☆
俺の歴史上最も古い記憶ではアルプスの少女ハイジの『アルムおんじ』だろう
『偏屈じじい』が時間をかけて『良いじじい』になる物語は数限りなく存在する
この前レビューを書いた『恋愛小説家』も然り。この作品も間違いなくその血統だ
考えてみれば、俺はこの手の物語に強く惹かれる傾向があるのではないか?最近そんな事を考える。その理由にも思い当たるものがある。俺自身が偏屈じじいになるだろうという予感があるからだろう。理由は簡単、俺は『偏屈おっさん』なのだ
俺の中で『クリント・イーストウッド』は偏屈じじいをやらせたら随一の役者だと思っている。『ミリオンダラー・ベイビー』でもそうだったが、本人も偏屈じじい役を好んで演じている節もあるし、そもそもクリント・イーストウッドは若い頃から気難しそうな顔をしてた。老齢になればの傾向が強まるのも当然だ
主人公のコワルスキーはフォードで50年働き退職。スラム化しつつあるデトロイトで、近所から次々と白人が居なくなっていく中でも居座り続ける生粋の偏屈じじいだ
白人に代わり増えてきた有色人種のご近所さんとは、当然トラブル続き。だが隣に住むモン族の娘スーとの触れ合いで、コワルスキーは徐々に人の良いじじいへと変貌していく
お決まりのパターンではあるのだが、ラストでは感動
もちろんミリオンダラー・ベイビーには敵わないが、なかなかにダンディーな最期は、流石のクリント・イーストウッド
物語としてのパンチの弱さは否めないが良作であるのは間違いない
コメント