作品名:シン・ゴジラ
評価:★★★★☆
先日、たまの休みにTSUTAYAに行ったら置いてあった本作
ネットの評判が良かったようだという記憶はあったが、特にレンタルを待ち望んでいたわけでもない。しかしズラッと1棚占領していて全部貸出中。かと思ったら棚の一番下にBD版が1つだけ残っていたので反射的にGET
とりあえず初期形態のゴジラの目が怖すぎて泣きそうになる
後半は「おまえ、本当にあのゴジラか?」ってなる
基本的に特撮技術は『巨神兵東京に現わる』がベース。それにCGをつなげて良いバランスの映画に仕上がっている
昔ながらの特撮と音楽で、昔のゴジラを観ていた人なら非常に楽しく観れるだろう
合わせて個人的には、東京駅の元職場だったビルがゴジラの頭に直撃してて笑えた
新幹線や在来線に爆弾を仕掛けてぶつけたりと、本気だか冗談だかわからない様々な演出も笑える
娯楽映画としては非常に高いレベルに出来上がっているが、それにしては難解な部分が多く、広く一般向けに作られていた今までのゴジラ作品程には一般受けはしないだろう
俺にはドンピシャだが
—–以下ネタバレありの考察—–
さて、ネット上では牧教授は何がしたかったのか?
ゴジラとはどのような存在なのか?などに関して様々な考察があり、とてもおもしろかったので、ネタバレを含むがオレオレ考察を書いておく
ネットで既に書かれているように、映画の序盤に無人で発見される教授のボートには折鶴と『詩集 春と修羅』、ゴジラに対抗するヒント(なぞなぞ)が残されていた。その事から教授が悪意に拠って行動していたとは考えにくい
教授は最愛の妻を核の被害で亡くした過去を持つ
核に対する恨み、それを防げなかった人類の未熟さに対する怒り。様々な負の感情を抱いていたであろう事は容易に推測できる
だがボートに残された物から人類に対する愛も失っていなかった事もわかる
そして教授は(おそらく)自らの人生を賭してゴジラを解き放った
米国が教授を必死に探していた事から、彼が米国エネルギー省(DOE)から深海鮫のラブカをベースとしたゴジラの幼体、もしくはその一部を持ち出したであろう事がわかる
そして、教授の失踪(おそらく死)直後にゴジラが活動を開始した事から、教授のとったなんらかの行動がゴジラ始動のトリガーとなった可能性が高い
ここは想像するしかないのだが、教授はDOE時代の研究の過程で、ゴジラは他の生物の遺伝子を摂取する事で進化する事を発見したのではないか?
本来軟骨魚類であるラブカをベースとしたゴジラは、四肢動物には進化しないはずである。しかし、ゴジラは明らかに四肢を有しているので、硬骨魚類を祖先とすると人類の遺伝子を摂取する事で、ヒレから四肢への変化をはじめとした陸上生活に必要な進化を獲得したと思われる
教授は自らの人の遺伝子を幼体のゴジラに与える事で、その進化を促進すると同時に弱点を正確に推測できたのではないだろうか?
「私は好きなようにした、君たちも好きなようにしろ」
教授はいつかゴジラが人類に災いをもたらす事を知っていた。だから自らゴジラに食われる事で、今すぐゴジラを進化させた。これは教授の好きなようにした事。妻を奪った人類(日本)に対する罰と警鈴
反面、致命的な弱点となる情報を不完全な形で残した。君たちも生き残りたかったらコレを使って頑張ってみろ。滅ぼすも滅ぼされるも、君たちの『好きなようにしろ』
書いていてはじめて気付いたのだが、牧教授のキャラは、本作の監督樋口真嗣も関わりがある『青の6号』の敵役ゾーンダイクに似ている。彼もそうだったが、牧教授は人類を試したかったのではなかろうか。我々は自ら作り出した者、ゴジラに対して如何に対応するのか
結局シンゴジラとは何者なのか?
それはラブカが放射能に汚染された環境で獲得した生命の力と、ヒトが積み上げてきた知恵の力が融合した神に等しい存在
あれ?どこかで聞いた事が。。。
そしてラスト
凍結したゴジラの尻尾から人の形をした何かが見える。牧教授ですら(たぶん)予測し得なかったゴジラの次なる進化。人の遺伝子を持つゴジラが、進化の次なる段階で人の形態を採る事は、別におかしな事ではない
人は何億年もかけて地球の環境に適した形態に進化した。ゴジラはそれを素早くやってのけただけだ。これを見て続編への布石だと取る人が多いようだが、俺は続編は無いと思う
なぜならば、この作品は構造的に完結しているからだ
結果は自明だ。人類は滅びるのだ
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